北山杉・北山丸太について
北山杉・北山丸太とは
北山杉は室町時代 応永年間(1394~1427)頃からつくり始められたといわれ、この北山杉の皮をむき、加工してつくられる北山丸太は千利休により完成された「茶の湯」文化を支える茶室や数寄屋の建築用材として頻繁に用いられるようになり、今日まで、600年の歴史を刻んでおります。
この間、先人のたゆまぬ努力と叡智によって、今日の一貫した育林、加工の技術が培われてきました。
桂離宮や修学院離宮、島原角屋等は北山丸太を使った数寄屋づくりの代表的な建築です。
一般的に北山丸太といわれるものには、磨丸太、人造絞り丸太、天然出絞丸太、面皮柱、タルキなどがあり、その特色はとりわけ材質が緻密で木肌が滑らかで光沢があり、干割れが生じにくい等があげられます。
北山丸太の優美な特質は、和風建築にはもちろんですが、現代建築にもよく調和し、その優雅な風趣は人と自然を近づけ、自然感を室内空間にもたらす材料として様々な用途に使用されています。その表情の多様な美しさやみずみずしさはきっと皆さまを引き込むことでしょう。
北山丸太はまさに600年の歴史の重みを感じさせる京都の伝統工芸品であり、「京都府伝統工芸品」(京都府)や「京都市伝統産業品」(京都市)の指定を受けています。
また「北山丸太」は「北山杉」とともに地域団体商標を取得し、更なる品質向上を図り、ブランド化をすすめております。
美しさだけではない、北山丸太がもつ力強さ
北山丸太とは本来、数寄屋建築や床柱など木の肌の光沢や模様(絞り)を楽しむもので、一般的な木材の様な構造材としての利用というよりは、意匠材(インテリア素材)としての機能をもった素材です。しかし近年、構造材としての利用価値も注目されてきています。
曲げ強さは製材品の1.8倍 曲げヤングは製材品の1.35倍
製材品や一般丸太と比較して北山丸太は曲げ性能に優れています。
- ○曲げ応力は落ちかけた後、再び上昇する状況も認められます。
- ○座屈破壊応力・縦圧縮ヤングは製材品の1.2倍の強度が認められました。
(京都大学生存圏研究所の強度試験結果による)
北山丸太の種類
北山磨丸太
北山丸太の基本製品です。材質が緻密で節がなく木肌はなめらかで光沢があり、また通直で真円に近く元末の差が少ないのが特徴です。
北山天然出絞丸太
木肌に自然にコブ状・波状の凹凸(絞り)ができたもので、品種や地質、日当たりによって様々な表情が見られます。主に床柱として使用されています。
北山人造絞丸太
木肌に波状に出る天然絞りを人工的につけた商品です。伐採の2~3年前に箸状の材料を幹に巻き付けて絞り模様をつけたもので、床柱として一般的に使用されています。
北山タルキ(小丸太)
北山丸太の垂木(タルキ)用材。無地が特徴で元末の差があまりなく、茶室や数寄屋住宅に利用されますが、最近では手すりやルーバーなどの装飾用としても使用されます。
北山面皮柱
磨丸太を手斧(ちょうな)などで製材し、丸太の木肌を残しながら木目の美しさを引き出したものです。
洛北
北山丸太の新しい用途として腰板・壁板用に開発された製品です。木肌と木目の両方に美しさを持ち、公共施設から店舗、住宅など幅広く用いられています。